※男男です。でも恋愛にはしない、今のところは。するときはちゃんと事前にお知らせします。
※一部の描写については一応ちょっとは調べながら書いていますが、基本は「まあメトロシティだしな」で許したってください。
※梟とネジマキ鳥シリーズの作品です。1話目ぐらいは読んでおくと状況が分かりやすいかもしれません。
9月3日、深夜0時。日付が変わった瞬間、エドのスマホのチャットアプリには、仲間からのメッセージが飛んでくる。
「エド、今日誕生日だね」
「おめでとう!」
「おめでと!」
「おめでとう、エド」
「おめでとうございます」
「次は皆そろってお祝いできたらいいわね」
……一緒にはいられないけれど、ちゃんと覚えていてくれているのが、なんだかうれしい。エドはちょっと考えて、返事を打つ。
「居場所はそれぞれ違うけど、いつもありがとう」
「エドったら、珍しく素直じゃないの」
そうメッセージを送ってきたのはファルケだった。
「クソ、そういうんじゃねえよ」
「またまた」
「エド、次はどんなケーキにする?」
「やっぱりチョコミントケーキがよいだろう」
「また会える日が楽しみですね」
「もう0時だし、とにかくオレは寝る。おやすみ」
それだけ打って、エドは片づけをしてベッドに入った。
「いい夢が見られますように」
そのメッセージを見たファルケは、そんなメッセージを送った。
その後エドが目覚める。今日も、一人の一日が始まる。
スマホを開くと、あの青年からチャットが入っていた。さしずめいつものように食事に誘ってきたりするようなチャットだろうと思って、トーク画面を開く。
「エドさん、何か趣味とかあるんですか」
変なの。そう思いながらエドは返事を打つ。
「なんだよ唐突に」
返事はすぐに返ってきた。
「知りたいだけです」
また研究者特有の知的好奇心か。「どうでもいいだろ、教えねえよ」……と返そうとしたが、ちらりと仲間の顔が脳裏をよぎった。
「あー、ビリヤードとかか」
「かっこいい!僕も見てみたいです!」
エドはちょっと考える。自分へのささやかな誕生日プレゼントにでも、久しぶりにビリヤードバーでちょっと遊ぼうかと思っていたところだったのだ。
「実はちょうど行くところだった」
「ご一緒してもいいですか」
「見るだけになるかもしれねえけどいいのか」
「いいんです!いつも僕が誘ってばかりなので」
その後、エドは無言でいつも行っているビリヤードバーの位置情報を送った。ここなら一応エレベーターもあるし大丈夫だろう。
ビルの前で落ち合った2人は、ビリヤードバーがある地下に向かう。
「こういうところ初めてです」
「そうか」
エレベーターを出ると、カウンターに店員がいて、エドに声をかけた。
「いらっしゃいませ。何名でご利用ですか」
「2人で」
「会員証をお願いします」
「ほらよ」
エドは店員にビリヤードバーの会員証を手渡す。
「あ、お誕生日ですね!おめでとうございます。軽食をサービスします」
「げっ」
誕生日の月日だけは本当のことを正直に書いたのが裏目に出てしまったか。エドが青年のほうを振り向くと、なんだかちょっとわくわくしたような顔をしていた。
「あー、これは」
「お誕生日だったんですね」
「……チッ」
青年は微笑んだ。
「おめでとうございます」
ここでこいつのことを邪険に扱ったら、ファルケがなんか悲しそうな顔しそうだな。バレたもんはしょうがねえな。
「あ……ありがとよ」
エドたちはビリヤードの台に案内される。
「ドリンクや軽食のオーダーはこちらの端末からお願いします。ごゆっくりお過ごしください」
エドはキューを手に持ち、先端にチョークを塗り付ける。ウォーミングアップがてら玉を撞く。
「おー」
「なんだよ」
「華麗な手さばきって感じ」
「ただのウォーミングアップだよ」
やがてテーブルに軽食が届いた。ちょっと豪勢な感じのクラブハウスサンドイッチだ。常連なら、これを見ただけで注文した人が誕生日なのはわかってしまうだろう。
「さっさと食うか……お前も食えよ」
「あはは、味わって食べましょうよ」
「うーん、まあそりゃそうか……」
青年は大きく口を開けて、サンドイッチに一口かぶりついた。
「ん、美味しい!」
エドも一口かじる。ボリュームたっぷりのサンドイッチは食べ応えがあって美味しい。
「美味えな」
「おや、エド君じゃないか。今日はお友達も一緒かい」
初老の男性がエドたちに声をかける。
「おう。オレがやってるとこ見たいっていうから連れてきたんだよ」
初老の男性は青年と握手をする。
「ここに来るのは初めてかな。わからないことがあったら何でも聞きなさい」
「ありがとうございます!」
それから、初老の男性はエドのテーブルに置かれたサンドイッチを指した。
「おや、誕生日特典のサンドイッチじゃないか。おめでとう、エド君」
エドは「め、めんどくせぇ~!」……と言いかけたが……我慢我慢。
「お、おう」
「よかったら手合わせ、どうかね」
「悪くねえな」
「じゃあナインボールにしよう。5先だ」
「わかった」
エドと初老の男性が握手をして、ゲームを始める。
青年の目の前で、2人が順番に玉を撞いていく。ルールは全然わからないが、楽しそうなのはわかる。
休憩。エドはモクテルを一杯注文した。青年も、リンゴサイダーに口をつける。
「エドさん」
「なんだ」
「ビリヤード、僕もやってみたいです」
「やってみるか?」
エドはニッと笑いながら青年にキューを渡した。青年はキューを受け取る。
「エド君もついに弟子をとるのか」
初老の男性は、そう言い笑いながら隣のテーブルからこちらの様子を見ている。
「そういうんじゃねえから!」
「おっと、思ってたより長い」
「片手をこうして、こう構える」
エドはもう一本のキューで構え方の手本を示す。
「こうですか?」
「悪かねえな。で、こう」
エドはそのまま手玉を撞いて見せる。青年も真似をして玉を撞こうとしたが、キューは空を切った。
「まあ最初はそんなもんだ」
「むむむ……」
青年は何度か玉を狙ってキューを動かしていたが、コツをつかんできて、まっすぐに玉を撞くことに成功した。手玉はコン、と気持ちいい音を立てて的玉に当たった。
「お~」青年は嬉しそうだ。
「要領いいじゃねえか」
「いいですね、これ」
エドは少し考えて、
「ちょっとオレとゲームやってみるか」
と返した。
「いきなりですか!?」
「お前ならルール聞きゃすぐわかるだろ」
「……頑張ります!」
「そんな気張んなよ……」
そんなこんなで、2人はビリヤードを楽しんだ。
2人はビリヤードバーがあるビルを出る。
「ビリヤード、楽しかったですね」
「ああ、それならよかった」
「……どうしましょう、エドさん」
「何だよ」
「せっかくのエドさんの誕生日なのに、僕、なんにも用意できてないです」
青年はきまりの悪そうな顔をした。
「オレ物が増えんのとかあんまり好きじゃねえからよ、気にすんな」
「でも……」
「……じゃあまたビリヤードに付き合えよ、それでチャラ」
「エドさんも今日楽しかったんだったら、僕もうれしいです」
2人はバス停に向かって歩き出した。
一人で過ごすつもりだったが、こういうのも悪くねえな。とエドは思った。
※一部の描写については一応ちょっとは調べながら書いていますが、基本は「まあメトロシティだしな」で許したってください。
※梟とネジマキ鳥シリーズの作品です。1話目ぐらいは読んでおくと状況が分かりやすいかもしれません。
9月3日、深夜0時。日付が変わった瞬間、エドのスマホのチャットアプリには、仲間からのメッセージが飛んでくる。
「エド、今日誕生日だね」
「おめでとう!」
「おめでと!」
「おめでとう、エド」
「おめでとうございます」
「次は皆そろってお祝いできたらいいわね」
……一緒にはいられないけれど、ちゃんと覚えていてくれているのが、なんだかうれしい。エドはちょっと考えて、返事を打つ。
「居場所はそれぞれ違うけど、いつもありがとう」
「エドったら、珍しく素直じゃないの」
そうメッセージを送ってきたのはファルケだった。
「クソ、そういうんじゃねえよ」
「またまた」
「エド、次はどんなケーキにする?」
「やっぱりチョコミントケーキがよいだろう」
「また会える日が楽しみですね」
「もう0時だし、とにかくオレは寝る。おやすみ」
それだけ打って、エドは片づけをしてベッドに入った。
「いい夢が見られますように」
そのメッセージを見たファルケは、そんなメッセージを送った。
その後エドが目覚める。今日も、一人の一日が始まる。
スマホを開くと、あの青年からチャットが入っていた。さしずめいつものように食事に誘ってきたりするようなチャットだろうと思って、トーク画面を開く。
「エドさん、何か趣味とかあるんですか」
変なの。そう思いながらエドは返事を打つ。
「なんだよ唐突に」
返事はすぐに返ってきた。
「知りたいだけです」
また研究者特有の知的好奇心か。「どうでもいいだろ、教えねえよ」……と返そうとしたが、ちらりと仲間の顔が脳裏をよぎった。
「あー、ビリヤードとかか」
「かっこいい!僕も見てみたいです!」
エドはちょっと考える。自分へのささやかな誕生日プレゼントにでも、久しぶりにビリヤードバーでちょっと遊ぼうかと思っていたところだったのだ。
「実はちょうど行くところだった」
「ご一緒してもいいですか」
「見るだけになるかもしれねえけどいいのか」
「いいんです!いつも僕が誘ってばかりなので」
その後、エドは無言でいつも行っているビリヤードバーの位置情報を送った。ここなら一応エレベーターもあるし大丈夫だろう。
ビルの前で落ち合った2人は、ビリヤードバーがある地下に向かう。
「こういうところ初めてです」
「そうか」
エレベーターを出ると、カウンターに店員がいて、エドに声をかけた。
「いらっしゃいませ。何名でご利用ですか」
「2人で」
「会員証をお願いします」
「ほらよ」
エドは店員にビリヤードバーの会員証を手渡す。
「あ、お誕生日ですね!おめでとうございます。軽食をサービスします」
「げっ」
誕生日の月日だけは本当のことを正直に書いたのが裏目に出てしまったか。エドが青年のほうを振り向くと、なんだかちょっとわくわくしたような顔をしていた。
「あー、これは」
「お誕生日だったんですね」
「……チッ」
青年は微笑んだ。
「おめでとうございます」
ここでこいつのことを邪険に扱ったら、ファルケがなんか悲しそうな顔しそうだな。バレたもんはしょうがねえな。
「あ……ありがとよ」
エドたちはビリヤードの台に案内される。
「ドリンクや軽食のオーダーはこちらの端末からお願いします。ごゆっくりお過ごしください」
エドはキューを手に持ち、先端にチョークを塗り付ける。ウォーミングアップがてら玉を撞く。
「おー」
「なんだよ」
「華麗な手さばきって感じ」
「ただのウォーミングアップだよ」
やがてテーブルに軽食が届いた。ちょっと豪勢な感じのクラブハウスサンドイッチだ。常連なら、これを見ただけで注文した人が誕生日なのはわかってしまうだろう。
「さっさと食うか……お前も食えよ」
「あはは、味わって食べましょうよ」
「うーん、まあそりゃそうか……」
青年は大きく口を開けて、サンドイッチに一口かぶりついた。
「ん、美味しい!」
エドも一口かじる。ボリュームたっぷりのサンドイッチは食べ応えがあって美味しい。
「美味えな」
「おや、エド君じゃないか。今日はお友達も一緒かい」
初老の男性がエドたちに声をかける。
「おう。オレがやってるとこ見たいっていうから連れてきたんだよ」
初老の男性は青年と握手をする。
「ここに来るのは初めてかな。わからないことがあったら何でも聞きなさい」
「ありがとうございます!」
それから、初老の男性はエドのテーブルに置かれたサンドイッチを指した。
「おや、誕生日特典のサンドイッチじゃないか。おめでとう、エド君」
エドは「め、めんどくせぇ~!」……と言いかけたが……我慢我慢。
「お、おう」
「よかったら手合わせ、どうかね」
「悪くねえな」
「じゃあナインボールにしよう。5先だ」
「わかった」
エドと初老の男性が握手をして、ゲームを始める。
青年の目の前で、2人が順番に玉を撞いていく。ルールは全然わからないが、楽しそうなのはわかる。
休憩。エドはモクテルを一杯注文した。青年も、リンゴサイダーに口をつける。
「エドさん」
「なんだ」
「ビリヤード、僕もやってみたいです」
「やってみるか?」
エドはニッと笑いながら青年にキューを渡した。青年はキューを受け取る。
「エド君もついに弟子をとるのか」
初老の男性は、そう言い笑いながら隣のテーブルからこちらの様子を見ている。
「そういうんじゃねえから!」
「おっと、思ってたより長い」
「片手をこうして、こう構える」
エドはもう一本のキューで構え方の手本を示す。
「こうですか?」
「悪かねえな。で、こう」
エドはそのまま手玉を撞いて見せる。青年も真似をして玉を撞こうとしたが、キューは空を切った。
「まあ最初はそんなもんだ」
「むむむ……」
青年は何度か玉を狙ってキューを動かしていたが、コツをつかんできて、まっすぐに玉を撞くことに成功した。手玉はコン、と気持ちいい音を立てて的玉に当たった。
「お~」青年は嬉しそうだ。
「要領いいじゃねえか」
「いいですね、これ」
エドは少し考えて、
「ちょっとオレとゲームやってみるか」
と返した。
「いきなりですか!?」
「お前ならルール聞きゃすぐわかるだろ」
「……頑張ります!」
「そんな気張んなよ……」
そんなこんなで、2人はビリヤードを楽しんだ。
2人はビリヤードバーがあるビルを出る。
「ビリヤード、楽しかったですね」
「ああ、それならよかった」
「……どうしましょう、エドさん」
「何だよ」
「せっかくのエドさんの誕生日なのに、僕、なんにも用意できてないです」
青年はきまりの悪そうな顔をした。
「オレ物が増えんのとかあんまり好きじゃねえからよ、気にすんな」
「でも……」
「……じゃあまたビリヤードに付き合えよ、それでチャラ」
「エドさんも今日楽しかったんだったら、僕もうれしいです」
2人はバス停に向かって歩き出した。
一人で過ごすつもりだったが、こういうのも悪くねえな。とエドは思った。