【小説】夕方に買い物

エドは青年の買い物を手伝うようです。

2025-06-03 23:11:13
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梟とネジマキ鳥シリーズの作品です。1話目ぐらいは読んでおくと状況が分かりやすいかもしれません。
※男男です。でもBLではないつもり。夢小説なのかもよく分からない。
※恋愛にはしない、今のところは。するときはちゃんと事前にお知らせします。
※一部の描写については一応ちょっと調べながら書いていますが、基本は「まあメトロシティだしな」で許したってください。




















朝食を食べ終えたエドのスマホに、何やら通知が来ていた。チャットアプリに、あの青年がメッセージを送ってきたらしい。
「エドさん」
「なんだ」
「実は、お願いしたいことがありまして」
「さっさと言え」
「毎週金曜日の夕方はヘルパーさんと買い出しに行ってるんですけど、今日は来れなくなっちゃったんです」
「多分オレにその買い出しの手伝いを頼みたいってことだな」
「話が早い!そういう事です……」
「まあ行けなくもないが」
「ありがとうございます!いくら払えばいいですか?」
そう言われたエドは、バイソンの顔を思い浮かべる。
「確かに金は必要だが、なんかそういうの嫌なんだよな」
「えっ!じゃあどうすれば」
「昼飯おごれ」
青年は驚いたスタンプを送る。
「本当にそれで良いんですか!?」
「そのかわり、不味いモン食わされたら買い出しは手伝わねえからな」
「わかりました!これは責任重大ですね……」
青年は了解のスタンプを送ってきた。

そしてその日の昼、エドは青年と待ち合わせた。エドが待ち合わせ場所に向かうと、すでに青年が待っていた。何やら本を読んでいたが、エドが来たのに気づいて顔を上げた。
「エドさん!急にありがとうございます」
「で、何食うんだ」
「今日はスパゲッティとかどうでしょう、がっつりボロネーゼとか」
「……悪くねえ」
エドはニヤッとした。
「よかった!早速行きましょう」
青年は車椅子を漕ぎ始めた。エドはそれについていく。

青年が通う大学にほど近いイタリアンの店にやってきた。学生向けの安価なメニューが揃っている。
「で、ボロネーゼってのはこれか」
店先に立てられている看板には、チョークでパスタの絵が描かれていた。
「いいでしょう。オシャレな雰囲気の割にお手頃だって学生の間で人気なんです」
「なるほど、こりゃいい」
「じゃあ入りましょう!」
青年とエドは2人で中の席に案内された。ボロネーゼを2皿注文し、出来上がるのを待つ。

「ところでよ」
「何ですか」
「気悪くしたらいけねェんだけどよ……テメェどこで金稼いでんだ。金ねえ奴からむしり取るのはごめんだぜ」
「スクラップ工場でバイトしてます」
「は?」
ウソつけ……と言いかけたが、エドは言葉を飲み込んだ。自分みたいな奴こそ、年齢とかを告げたら真っ先にウソつけ、って言われる側だから。もしかしたらこう見えてコイツもとんでもない格闘技の使い手で、バカスカトラックをぶっ壊してるのかもしれねえしな。決めつけはいけない。
「いや、トラックを壊す側じゃないですよ。スクラップの中から役に立ちそうなパーツを選別したりしてるんです」
「はは、そうか」
「ところでエドさんは、どうしてるんですか?」
「うーん……金は必要だが、迷ってんだよな。強盗とかはしたくねえし」
「エドさんならきっといっぱいトラック壊せますよ!いつでもお待ちしてますよ」
「そうだな、考えてみるか」

「おまたせしました、ボロネーゼです」
「ありがとうございます」
「来た来た」
2人の前に、値段の割にそこそこガッツリ盛りつけられたボロネーゼが姿を現した。
「いただきまーす」
2人はボロネーゼを食べ始める。
エドはフォークでパスタを絡めて、大口を開けて頬張った。濃厚なソースと塩気の効いたパスタの相性は抜群だ。
「うまっ……」
「でしょう、エドさんこういうの好きそうだなって思って」
「まだ2回しか会ってねえだろ……」
「ははは」

互いに踏み込みすぎない関係性。悪かねえな、とエドは思っていた。
ひとまず、余計な話をして、コイツがシャドルーの奴らのたくらみに巻き込またりしねえようにだけ気をつけねえとな。コイツのことだ、下手したら自分から首つっこんじまうかもしれねえしな。
「そんで、今日は何買うんだ」
「えーと」
青年はメモを取り出した。
「野菜とか、パンとか、お肉とか……コーヒーも欲しい。日用品もいくらか買わなきゃですね、洗剤とか……」
「マジで一人暮らししてんだな……」
「自分でサポートドローンを作って、家のことを色々手伝ってもらってるんです」
「ドローンを、自分で、か」
ドローンのことはいまいちよくわからないが、何かロボットの類だろう。
「じゃあそいつを買い出しに連れてけばいいじゃねえか」
「外での利用がまだ許可されてないんですよ。あとあんまり重いものは持てないので」
「ふーん」

2人はパスタを食べ終えた。
「結構量あったな」
「おなか一杯ですね!」
青年は満足そうにしている。
「で、夕方にまた来ればいいんだな」
「スーパーで落ち合いましょう。場所はここです」
青年はチャットアプリに地図を送った。
「じゃあ僕は研究室に戻ります。また会いましょう!」
「実験に夢中になって遅れんなよ~」
「わかりました!」
青年は手を振って、大学のほうに戻っていった。

「ここだな」
スーパーの前には、青年が待機していた。
「お疲れ様です!」
「よし、さっさと行くぞ」
「気合い入ってますね、よろしくお願いします」

エドはカートを押しながら、売り場を見て回る。その横を、青年がついていく。
最初にたどり着いた売り場には、色とりどりの量り売り野菜が並んでいる。青年が言ったものを順番に手に取っていく。
「っつうかテメェ自炊なんかすんだな」
「そりゃしますよ。エドさんはしないんですか?」
「ちょ、ちょっとぐれぇは……」
「いいんですよ、人それぞれですし」

「あっこれいいなあ」
青年はコーヒー売り場で止まり、少し高いところにあるドリップコーヒーの箱を見上げた。彼一人では届かないだろう。
「これだな」
エドはその箱を手に取り、カートに入れた。
「それです、ありがとうございます。」
「コーヒーとか何にもわかんねえな」
「今度淹れましょうか」
「うーん……検討する」
「エドさん、苦いのは好きじゃなさそう」
「何だよ、文句あんのか」
「はは、なんとなく思っただけ……もしかして図星でしたか?」
「どっちでもいいだろ」
青年は視線を少し下げて、別のコーヒーの箱に目を留める。
「あー、こっちも良いな、いつものも……うーん」
「おいおい、そんなにいくつも買って大丈夫なのか」
「しまった、いつもの癖だ。今日は1箱だけにしておきます」

「つい余計な買い物しちゃうんですよね、スーパーに来ると」
日用品売り場にたどり着いたころに、青年はつぶやいた。
「あっ、あの詰め替え用洗剤です」
エドは、青年の指さす先を見て、少々高いところにある洗剤を取った。
「ありがとうございます」
「ちょっとテメェの生活が心配になってきたぞ……」
「あはは、よく言われます」

その後2人は会計を済ませ、店を後にする。買ったものを自宅まで運ぶところまでが約束だ。自宅は、初めて会った時に向かったあの建物だろう。
――青年が話し始める。
「エドさん、夜って眠れてますか」
「何だ急に」
「僕、よく眠れなくなることがあって」
「コーヒーのせいなんじゃねえのか」
「ええとですね……それもあるかもしれませんが……脚がひどく痛むことがあって目が覚めるんです」
「ああ、そういうことか……」
分かるぜ。身体がまだ急成長していたころは、身体中の骨がまるで釘を打ちつけられたかのようにズキズキ痛んで目が覚めることがよくあった。目が覚めても、ろくに身動きもとれねえ。悪夢をよく見るのは、きっとサイコパワーのせいだけではないだろうというレベル。
……などと言えたら楽だろうなあと思いつつ、きっとこんなめちゃくちゃな出自をいきなり話したら不気味がられるだろうし、別の問題も起こりそうだからやめておこう、とエドは思って心の中にしまっておいた。
「何か言いかけました?」
「いや、オレも寝れねぇこと結構あるからよ」
「そしたら僕たち、寝れない仲間かもしれませんね」
「何だよそれ」
「ああ、ごめんなさい。気を悪くしてしまいましたか」
「別にそういうんじゃねえよ。夜に一人、つれェもんなって」
青年はエドを見上げてほほ笑んだ。
「……優しいんですね」
そう言われて、エドは急に我に返った。
「うわっオレ何言ってんだ、気持ち悪ィ!」
青年はその横で笑った。
帰り道、そうして駄弁る2人とともに、夕日は徐々に傾き、影を伸ばすのだった。

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